所長のブログMPI日記

2018.07.31

ABSって?(オーソライズドバイオシミラー)

7月24日に東京でIQVIAソリューションズ ジャパン株式会社主催(ユートブレーン事業部)のセミナーでお話し(講師)してきました。

最初に依頼を受けたのが2004年6月で、それから懲りずに毎年のようにご依頼をいただいています。企業に雇用されている身としては、外部向けにお話しするのはなかなか難しいところもありますので、講師のご依頼はお断りすることも多いのですが、長年お付き合いしているユートブレーン事業部の担当の方は、こちらの事情にもご理解をいただいており、講演内容を制御しつつお受けしています。

今回の講師陣は3人で、他のお二人は社長さんでした。やはり経営者のお話には重みがあります。なので私は露払いとして『多少はテキトーでもいいかなぁ』と少々気楽にお話ししてきました。


今回のテーマは「長期収載品とジェネリックの現状と今後を考える」でした。

第一講義が私です。

その概要は「ジェネリック市場、薬価改革、診療報酬改定」を分析して今後を予測するものですが、その中でBS(バイオシミラー)についてもお話ししました。


BSについては、リウマチの診療ガイドラインへの記載が見送られるなど、環境面では政策的にも動きが鈍い状況です。また『バイオセイムの薬価は5掛け』との発言が厚労省から出てきました。

バイオセイムとは、バイオ医薬品(先発)のオーソライズドジェネリック版です。

BSの薬価はバイオ医薬品(先発)の7掛けとなっていますが、これはBSが臨床試験など一般的なジェネリックより開発費がかかる"同質性"の医薬品であり、後発品ではなく"後続品"とされるためです。

しかしバイオセイムはバイオ医薬品(先発)と同じで同等性のある後発品となるため、後発品ルールが適用され薬価は5掛けを適用するとしました。

ABS(オーソライズドジェネリック)であっても製造所が異なるなど、"同質性"で承認されるものは、BSと同様に薬価は7掛けとするようです。

よってABSと言っても2種類が存在し、薬価設定も異なることになります。


なかなかヤヤコシイ話であり、薬価を低く設定することでABSを牽制しているかのような行政(厚労省)ですが、本音ではABS(特にバイオセイム)を歓迎していると思われます。

BSより薬価が安く先発品から切り替わりやすいため、苦労してBS使用を促進する必要もなく、バイオ医薬品は低価格のABSに置き換えが進んでいきます。


しかしABSの販売が企図されている状況でBSの開発を進める企業があるでしょうか?

この状況でBS開発にチャレンジするリスクは相当に大きくなり難しくなります。


そうなると・・、

BSの発売予定がなくなった状況でABSを発売する先発企業はあるでしょうか?

この辺の駆け引きは熾烈になりそうですが、両者ともどこまでリスクを負うのかが問題となります。


行政としてABSの発売を促すためには、BSの発売を支援する必要があります。

国内でBS発売の動きがあって、初めてABSの発売も検討されるからです。

しかし国内でABSと競合となるBSは不利になります。

その場合は、BSは大半の市場を国外に求めることになります。

「国内でBSの売り上げは見込みにくくても、海外で大きく見込まれるなら海外市場で稼ぎ、国内でも少しは発売する」とするなら、行政の思惑にも合致するため、BSの政策支援は海外進出支援が中心となるかもしれません。

・海外での承認申請のサポート(当該国の薬事行政の仲介やルールのアドバイス等)

・海外での医療保険制度等の対策サポート(情報収集、研修等)

・海外BS市場の日本国としての共同マーケティング(人材等) など


医療費抑制のために高額薬剤対策は重要な政策となっています。

BSの普及は絶対条件となり、BS使用促進策もこれから進められると思います。

その追い風はABSに強く吹くのかもしれません。


それでも、リスクを負ったBS開発企業も報われる未来であって欲しいと願います。

医療従事者のためのジェネリック医薬品と行政情報サイトStu-GE スタジー