製品検索

DYSPHAGIA Q&A摂食嚥下障害Q&A

監修:浜松市リハビリテーション病院 
病院長 藤島一郎

摂食嚥下障害 質問紙 スコア評価式

聖隷式嚥下質問紙(摂食嚥下障害 質問シート)は科学的に裏付けられた手法で開発され、 高い感度と特異度を有する嚥下障害の大変優れたスクリーニングツールです。従来は重い症状Aが一つでもあると嚥下障害の疑いがあるという評価法でしたが、 軽い症状Bを含め回答選択肢をスコア化することで、より定量的な評価が可能となりました。

本資材(質問紙スコア評価式)では「A:重い症状=4点」 「B:軽い症状=1点」「C:症状なし=0点」として、合計点で評価を行います。

A、B、C各点の合計が8点以上の対象者を「摂食嚥下障害の疑いあり」と評価した際の感度は90.0%、 特異度は89.8%と従来の評価方法と同等の結果が得られています1)

また、飯島の報告2)、を参照した推計で、おおよその目安として4点以上でオーラルフレイルの疑いありと判定します。 質問紙は医療・介護従事者が問診をしながら記入することも、対象者自身が記入することも可能です。 認知症など、患者自身で記入することが困難な場合は、表の薄紫色で塗りつぶした枠 にある10の質問項目(1、2、3、4、5、6、8、10、11、15)でのスクリーニングが可能です2)

なお、認知機能低下者向けの10の質問項目の場合は5点以上の対象者が摂食嚥下障害の疑いありに該当します。
1)中野雅德,藤島一郎他:スコア化による聖隷式嚥下質問紙評価法の検討 日摂食嚥下リハ会誌24(3):240-246,2020
2)飯島勝矢:高齢者医療に関するMinimum Skills7.口腔機能低下予防の新たな概念:「オーラル・フレイル」Geriatric Medicine(老年医学) 53:1177–1182,2015
3)中野雅德,藤島一郎他: 要介護者版聖隷式嚥下質問紙(Swallow10)の開発 日摂食嚥下リハ会誌 25(3):S100、2021

近年、フレイルの前段階として、口腔機能等が低下した状態を指すオーラルフレイルが注目されています。 オーラルフレイル予防や重症化抑制は健康寿命延伸に繋がります。摂食嚥下機能が低下した状態を早期に判別し、必要な治療やケアを行うことが重要です。 「8点未満だから問題ない」ではなく、おおよその目安として4点以上の場合には、「オーラルフレイルの疑いあり」として、予防策を講ずる必要があります。 スコア評価式の本質問紙を嚥下障害に至る前の段階の評価にも活用していただきたいと思います。

監修:中野雅德先生 徳島文理大学 保健福祉学部 口腔保健学科 客員教授
摂食嚥下障害 関連コンテンツ