ABOUT DYSPHAGIAなるほど摂食嚥下障害

監修:浜松市リハビリテーション病院 
病院長 藤島一郎 先生

ケア・対処

食べさせる側(介護者)の
注意点

食べさせるペースはゆっくりと

嚥下(えんげ)障害のある方は、飲みこみにとても時間がかかるので、次々に食べ物を与えられると処理が追いつかず、誤嚥や窒息につながります。介護者は、交互食べ(一口与えたら介護者が一口食べる)を念頭に置いて食べさせると良いでしょう。口の中を見て、飲みこんだことを確認してから次に進むと良いでしょう。

一口量を少なく

時間内に食べさせようとすると、どうしても一口量が多くなったり、口に運ぶペースが早くなりがちです。一回の量が多いと、誤嚥や窒息の原因となります。もちろんあまり少なくても嚥下(えんげ)が起こりにくいこともあります。患者さんの状態を見ながらスプーンの大きさや、スプーンにのせる量を加減しながら、ペース配分も考えて少しずつ調整して食べさせてください。

むせたときも焦らない

患者さんがむせてしまったときに、まず落ち着いて、顔を下に向けて、口の中に溜まったものがあれば吐き出させてください。背中をさすったり、ごく軽くたたきゆっくり息をするようにしてもらいます。上を向いたり、深呼吸をすると、かえって飲食物が気管に入り込んでしまいます。

むせた場合には、苦しくてもなるべくゆっくり息をしてもらい、落ち着くまで様子を観察してください。また、口からの飛沫が飛ぶことを恐れて、患者さんが口を閉じて咳をしている場合は、手を口から10cmぐらいに置いて、開放した状態で咳をうながします。口を閉じていたり、開放が少ないと、せっかく排出したものが、再び強く吸引され、気管に入り込んでしまいます。

落ち着いてから、ぶくぶくうがいで口の中のものをきれいに出してしまうのもよいですが、誤って飲んでそれがさらに誤嚥につながる場合もありますので注意してください。