ABOUT DYSPHAGIAなるほど摂食嚥下障害

監修:浜松市リハビリテーション病院 
病院長 藤島一郎 先生

くすりの工夫

お薬の剤形

ゼリータイプや、小さな錠剤にしたタイプ、また水を含むと速やかに崩壊するタイプなど、嚥下(えんげ)障害のある患者様でも飲みやすい剤形の薬が発売されています。

湿製錠剤(しっせいじょうざい)

口腔内に投与すると飲水またはわずかな飲水のみで、速やかに溶ける錠剤です。
製品を含む湿潤した練合物を一定の型にはめ込んで成形した後、乾燥して製するもので、口腔内で速やかに崩壊する錠剤などの限られた用途に利用されています。
(第十八改正日本薬局方解説書製剤総則の項より抜粋)

社内資料 水中(常温)にてスターラで撹拌

口腔内崩壊錠

口腔内崩壊錠はOD錠とも呼ばれています。口腔内に投与すると速やかに唾液で溶ける錠剤で、水なしまたはわずかな飲水のみで、咀嚼の必要なく服用できる薬剤です。様々なタイプがあり、その製造技術によって口腔内で溶けるスピード(数秒〜30秒程度)や強度などが異なります。

社内資料 水中(常温)にてスターラで撹拌

OD錠内服の留意点 ~口腔乾燥があるとき、残留など~

OD錠は唾液(少量の液体)で崩壊して口腔内に広がり飲みやすくなります。しかし、口腔が乾燥していて、水分を一緒に飲まなければそのままの形でとどまったり、咽頭に送られたりします。実際OD錠が喉頭蓋谷に長期残留して困った症例もあります。

錠剤が口腔や咽頭・食道に長期残留すると局所の刺激でアフターや潰瘍を形成することが問題となります。また、口腔内で崩壊したOD錠が嚥下(えんげ)されなければ、汚染の原因になると考えられます。アフター形成の原因になるかも知れません。

OD錠であっても確実に嚥下(えんげ)されて口腔や咽頭に残留しないように配慮することが必要です。

【参考文献】
馬木良文, ほか. 口腔内崩壊錠は摂食・嚥下(えんげ)障害患者にとって内服しやすい剤形か? 臨床神経学 2009 ; 49 : 90-5.

口腔内崩壊フィルム

口腔内崩壊フィルムはODフィルムとも呼ばれています。製剤の表面積を大きくし、さらに薄くすることで、唾液が迅速に製剤内部まで浸潤することができ、水なしまたはわずかな飲水のみで、咀嚼の必要なく服用できる薬剤です。

社内資料 水中(常温)に静置