知識
摂食嚥下障害の主な原因
摂食嚥下(えんげ)障害は、ある疾患が原因となり、それにより発現する症状です。
脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)による麻痺や、神経・筋疾患、また加齢による筋力の低下などが主な原因です。
脳卒中と摂食嚥下(えんげ)障害
摂食嚥下(えんげ)障害の大きな原因のひとつは脳卒中です。摂食嚥下(えんげ)障害の原因疾患の約40%が脳卒中であるといわれています。 一方、脳卒中に罹患した患者さんのうち急性期には約30%の患者さんに誤嚥が認められ、慢性期まで誤嚥が残存する患者さんは全体の約5%程度といわれています。
5%というと少ない印象を受けるかもしれませんが、日本では年間約40万人の脳卒中の患者さんが発症していると推計されますので、毎年約2万人の摂食嚥下障害の患者さんが新たに生じていることになります。
〈参考〉
日本脳卒中協会 HP:脳卒中と摂食・嚥下(えんげ)障害
http://www.jsa-web.org/jsanews/jn7/jn7a.html
<引用元>
・「疾患別に診る嚥下障害』医歯薬出版 P.174 総論:神経疾患における嚥下障害の特徴と理解(山脇正永、2012)
・老年歯学 2014 第28巻 第4号
身体の衰弱や加齢に伴う以下の症状による嚥下(えんげ)障害
- サルコペニア(筋肉減少症とも呼ばれます)
全身の筋肉と共に咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)に必要な筋肉が失われてしまう状態で、最近注目されています。
予防が一番大切です。 - 舌での押しつぶし、咀嚼力の低下や食物を飲みこみやすい形にまとめる機能の低下(食塊形成不全)、歯が弱る、残存歯数、義歯の不具合により起こります。
- 唾液の性状と量の変化
- 嚥下反射の遅れ
- 喉頭(のど仏)の位置の下降
- 無症候性脳梗塞の存在
- 注意力、集中力の低下
- 合併疾患、特に多く薬剤を服用していると副作用で嚥下(えんげ)が障害されることがあります。