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Infection Control vol.13摂食嚥下障害への対応・ICPが取り組む
包括的アプローチ

監修:昭和医科大学江東豊洲病院
耳鼻咽喉科教授・診療科長
木村 百合香 先生

摂食嚥下障害への対応・ICPが取り組む包括的アプローチ


昭和医科大学江東豊洲病院
耳鼻咽喉科教授・診療科長
木村 百合香 先生

vol.13では、摂食嚥下障害や誤嚥性肺炎に対する具体的対応と感染制御薬剤師(ICP:Infection Control Pharmacist)としての役割や介入について解説します。

目次

摂食嚥下障害・誤嚥性肺炎の管理における多面的アプローチ

摂食嚥下障害への対応は、原因や症状によって様々ですが、食事形態の工夫、姿勢の調整、口腔ケア、そして嚥下訓練や外科治療などが重要になります。一方、誤嚥性肺炎については、抗菌薬による薬物療法が基本となりますが、発症予防や再発予防に対しては、摂食嚥下障害同様、口腔ケアや食支援、嚥下訓練等の対応が欠かせません。また、高齢者においては多剤併用機会も少なくないので、ICPは抗菌薬のみならず、薬剤のスペシャリストとして、薬剤性嚥下障害への対応を含め、薬剤に関するトータルマネジメントが期待されます。

食形態の工夫と姿勢の調整

摂食嚥下障害患者の食形態は、その症状や病態にあわせて調整する必要があります。日本摂食嚥下リハビリテーション学会では「嚥下調整食分類」を作成しています(表11)。患者の咀嚼機能に鑑み、ゼリー、とろみからペースト状、常食まで段階的に食形態が分類されています。

入院中の患者については管理栄養士との情報共有や連携が有用です。病院によっては栄養サポートチーム(NST)や摂食嚥下支援チームが構成されている医療機関もあると思いますので、必要に応じて、チーム間連携をお勧めします。

また、スムーズな食事、あるいは食事中の誤嚥を防ぐためには、食形態に加えて、食べる際の正しい姿勢の保持が大変重要です。患者の病態や身体的特徴によって、その姿勢や調整内容は異なりますが、食べやすい姿勢にはいくつか押さえておくべきポイントがあります。詳細はをご参照ください。

誤嚥性肺炎予防のための口腔ケア

口腔ケアにより①口腔内の細菌数を抑制し肺への侵入リスクの低減、②マッサージ効果による唾液分泌の促進など肺炎予防や嚥下機能の低下抑制が期待できます。高齢者は、夜間の不顕性誤嚥が多く、免疫も低下していますので、特に重要です。

薬剤の適正使用と服薬管理

摂食嚥下障害の要因の一つとして医原性、特に薬剤性嚥下障害が問題となっています。

薬剤性嚥下障害については、薬剤が有する主作用、副作用、両面からのアセスメントが必要です。また、高齢者は多剤併用機会が増えてくるので、相互作用や相乗作用など服用薬トータルとしての評価も重要になります。

例えば、「口腔乾燥」の副作用などは薬剤に多く見られる副作用ですが、単剤ではその頻度や程度は少なくても、併用薬が多くなると、それだけリスクも相乗的に増えてきますので、適切な剤形選択や投与方法についてのアドバイスとともに、薬剤師の役割として期待したいところです(表22)

ICPへの期待

誤嚥性肺炎は、患者の有する基礎疾患によって様々な診療科が対応することになります。各科の医師が抗菌薬を選択する際、ICPの専門的知識と抗菌薬の情報は不可欠です。

また、ICPは病院全体を俯瞰した感染症にかかる情報を有していると思いますので、私自身に限らず、多くの医師がICPのアドバイスを期待しているのではないでしょうか。

以上、大まかにはなりますが誤嚥性肺炎とその要因となる摂食嚥下障害について、摂食嚥下障害に携わる専門医の立場から、ICPの皆様に期待することについて解説させていただきました。今後の更なるご活躍を期待します。

1)日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食委員会編. 日摂食嚥下リハ会誌. 2021; 25(2): 135-149.

2)介護施設 · 在宅医療のための食事状況から導く、薬の飲み方ガイド(社会保険研究所)より一部改変

Column

誤嚥性肺炎の抗菌薬治療について
(成人肺炎診療ガイドライン2024より)

7年ぶりに改訂したガイドラインは、高齢者肺炎への対応について充実を図るべく「誤嚥性肺炎」の領域が新設され、CQ18では「誤嚥性肺炎において、嫌気性菌をカバーする抗菌薬の推奨度は決定不能(中立)」とされました。

その背景には、嫌気性菌カバーに対するデータが不十分であること、誤嚥性肺炎の定義や論文の対象者が統一されていない等、エビデンスの不足が挙げられています。また、誤嚥性肺炎の定義や診断基準が統一されていないこともその一因として考えられています。

依って、治療に際しては「臨床現場では患者ごとに丁寧に評価し、総合的に判断することが求められる。」とまとめられています。

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