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DYSPHAGIA Q&A摂食嚥下障害Q&A

監修:浜松市リハビリテーション病院 
病院長 藤島一郎

症状・原因

食べていなくても
誤嚥性の肺炎になりますか?

口を使わず、胃に直接チューブを入れて栄養物を送り込む(経管栄養)状態の方でも、誤嚥性肺炎になることがあります。睡眠中などに、唾液や鼻汁、胃液などが気管に入り(不顕性誤嚥)、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。

食べないで口を使わないと、唾液の分泌が減り、また鼻腔・咽頭からの分泌物も嚥下されにくいため、口腔や咽頭は食べているとき以上に汚染し細菌が繁殖しやすくなります。夜間そのような分泌物を誤嚥したり、胃からの栄養物が逆流して誤嚥したりすると、肺炎を起こしやすくなります。高齢者では気道の喀出(かくしゅつ)機能や嚥下反射が弱く、誤嚥したものを排出しにくくなり、また全身の体力や抵抗力も弱っているので肺炎を起こしやすくなります。

通常では誤嚥するとむせますが、むせなかったり、睡眠中に無自覚に唾液や鼻腔粘液が呼吸にともなって、少しずつ気道に入っていく現象がおこります。このように本人の無意識のうちに唾液などが気管に入ってしまうことを、不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)といいます。

不顕性誤嚥について

嚥下反射・咳反射の低下した老人の場合、睡眠中には約70%の方に「不顕性の誤嚥」がみられ、この不顕性誤嚥を繰り返すうちに肺炎を起こしてしまうという誤嚥性肺炎が多いため、老人性肺炎予防の日常的なケアとして「十分な口腔ケア」が大切です。

佐々木英忠,ほか.口腔・咽頭の機能低下と誤嚥性肺炎.厚生省厚生科学研究費補助金長寿科学総合研究平成6年報告書;4:140-6.

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