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DYSPHAGIA Q&A摂食嚥下障害Q&A

監修:浜松市リハビリテーション病院 
病院長 藤島一郎

ケア・対処・訓練法

家庭でできる口腔ケア方法を
教えてください。

毎食後、ブラッシングと口腔清拭(こうくうせいしき)を行います。これらは歯、歯肉、口腔粘膜のマッサージ効果もあり、機械的刺激による口腔機能の回復に期待ができます。

方法

1口腔内の残渣(ざんさ:食べ物の残りかす)の点検と清掃

「摂食嚥下障害」のある方では、ほお・唇と歯茎の間に残渣があることがあります。人差し指にガーゼを巻き付け、奥から前へ拭い取ります。口腔内用スポンジブラシの使用も有用です。

2ブラッシング

磨きやすいヘッドが小さめの歯ブラシを用い、水気をよくきって小刻みに動かしながら歯の汚れをとります。歯茎や歯のつけ根もしっかり磨きましょう。

ブラシに付いた汚れは頻繁に洗い流し、適宜うがいをして口腔内は常に清潔に保ちます。うがいができない方は、余分な水分をガーゼや吸引器で吸いとり、ブラッシング時の水分による誤嚥を防ぎます。

粘膜が弱い方には、ソフトなナイロン製のブラシを使用します。豚毛のような密な植毛のブラシは、使用後にブラシの内部が乾燥しにくく、細菌が繁殖しやすいので清潔面に十分注意して保管しましょう。

  • ▼ブラッシング

3口腔清拭、口腔粘膜ケア

歯がある方もない方も、「歯磨き」ならぬ「口磨き」は必要です。ガーゼやスポンジブラシ等を水で濡らして、余分な水気をきって使用し、口腔内を清拭します。頬内側の清掃の場合は、奥から前へ拭き取ります。

口腔ケア方法:準備するもの

口腔ケア用スポンジブラシ

市販されているもの(口腔ケア用スポンジブラシ(トゥースエッテ®など))、または歯ブラシにガーゼを巻いたもの。

水200cc、またはカテキン水(水にカテキン粉末0.25g(耳かき5杯分))

紙ナプキン、またはキッチンペーパー

3-1.水またはカテキン水に、スポンジブラシを浸す。

3-2.紙ナプキン、またはティッシュペーパーで、スポンジブラシが含んだ水分が垂れ落ちない程度に水分を吸い取る。

3-3.図の点線のように、歯と頬の間と舌の下の汚れを拭き取る。正中には、唇小帯があるので、正中の手前までで止める。

3-4.口蓋は、正中を奥から手前へ、また左右へもしっかりこすって拭き取る。

3-5.図の点線のように、歯肉と頬粘膜の間もしっかり拭き取る。正中には唇小帯があるので、傷つけないように正中で止める。

4舌の清掃法

舌の汚れを落とします。舌ブラシや歯ブラシなどを使って舌の奥から前へ軽く数回に分けて拭き取ります。介護者の人差し指に巻き付けたガーゼでやさしく拭き取る方法もあります。

▼舌の清掃法:スポンジブラシを回しながら拭き取る。

5姿勢について

可能であれば座位をとります。円背などで座位が不可能であれば横になったりして顔を横に向け、唾液がのどに流れ込まないように、患者さんにとって無理のない自然な姿勢を考えます。

口腔内を清潔に保つことは、味覚や触覚(食品のかたさ、温度、味)を鋭敏にし、食べる意欲を引き出す意味でも重要なことです。食べる意欲がでれば、脳が活性化し、食べる楽しみを感じることができます。

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