薬・服薬の工夫
誤嚥性肺炎の予防に
効果のある薬剤などは
ありますか?
嚥下反射や咳反射が鈍ると誤嚥を起こしやすくなりますが、嚥下と咳の反射を司っている神経伝達物質はドパミンとサブスタンスPです。したがって、ドパミンやサブスタンスPを増やす、あるいは分解を抑制する成分は、嚥下と咳の反射を改善させ、誤嚥予防つまりは誤嚥性肺炎の予防につながると言われています。
例えば、降圧剤の中には、サブスタンスPの分解を阻害する作用を有し、嚥下や咳の反射を改善させる薬剤があります。抗血小板薬にもサブスタンスPを増加させ嚥下反射を改善させる作用を有する薬剤があります。
また、大脳墓底核でドパミン量を増やすことにより嚥下反射を促進させる作用を有する薬剤などが知られています。ただし、承認外の薬剤になりますので、詳しくは医師、薬剤師にこ相談ください。
薬剤性嚥下障害
薬の副作用として嚥下障害が起こることを、「薬剤性嚥下障害」といいます。薬剤性嚥下障害には、次のような症状と、その原因となる薬などが報告されています。
Stoshus B, Allescher H-D. Dysphagia 1993; 8: 154-9.
平滑筋や骨格筋の機能障害
抗コリン薬、三環系抗うつ薬、テオフィリン、カルシウム拮抗薬、アルコール
下食道括約筋(食道-胃部分)の圧低下
プロゲステロン、グルカゴン、ドパミン、テオフィリン、カルシウム拮抗薬、アルコール、アトロピン、ブチルスコポラミン
口腔咽頭および食道の嚥下機能低下
中枢神経系の鎮静作用を有する薬剤
咽頭の筋肉麻痺
痙性斜頸や顔面神経麻痺時のボツリヌス毒素の局所投与
麻痺による嚥下障害
経管チューブ挿入、内視鏡検査、歯科治療に用いられる局所麻酔
口腔乾燥症から嚥下障害
抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗不整脈薬
筋弛緩作用のある薬剤
筋弛緩薬