薬・服薬の工夫
飲み込みやすさを考慮した薬には
どんなタイプがありますか
ゼリータイプや、小さな錠剤にしたタイプ、また水を含むと速やかに崩壊するタイプなど、飲み込みやすさを考慮した剤形の薬が発売されています。
嚥下障害を伴った方にも、またそうでない方にも「服薬のしやすさ」を求めて多くの製剤が開発されています。口腔内が乾燥している場合には十分に湿らせる必要があります。粘膜からは吸収されないので、唾液を飲めていることが必要です。
解説動画【対談】
摂食嚥下障害における剤形選択
湿製錠剤
湿製錠剤崩壊の様子
水中(常温)にてスターラで撹拌
用語解説「湿製錠剤」とは
湿った粉体を低圧で打錠し、乾燥させて製造した錠剤です(湿式打錠法)。
錠剤内部に沢山の細孔があり、細孔に水が浸潤することで少量の水でも溶けます(崩壊します)。
湿製錠剤は普通錠または口腔内崩壊錠として承認されております。
口腔内崩壊錠・フィルム
口腔内崩壊錠(OD錠)崩壊の様子
水中(常温)にてスターラで撹拌
用語解説「口腔内崩壊錠」とは
口腔内崩壊錠はOD錠とも呼ばれています。口腔内で溶かして(崩壊させて)服用できる錠剤です。水なしまたはわずかな飲水のみで、咀嚼の必要なく服用できる薬剤です。様々なタイプのものがあり、その製造技術によって口腔内で溶ける(崩壊する)スピードや強度などが異なります。
OD 錠でも確認が必要です
~口腔内乾燥があるとき、残留など~
OD 錠は唾液(少量の液体)で崩壊し、水なしでも服用しやすい製剤として開発された剤形です。しかし、口腔が乾燥していたり、嚥下機能が低下している状態で水なしで服用すると、崩壊せずにそのままの形で口腔内や咽頭などにとどまることがあります。錠剤が口腔や咽頭などに長期残留すると刺激で局所の炎症やアフタ・潰瘍を形成することが問題となります。また、口腔内でOD 錠が崩壊しても嚥下されなければ、口腔内の汚染やアフタ形成の原因になることが考えられます。特に高齢の患者さんではOD 錠であっても確実に嚥下され、口腔内や咽頭に残留がないことを確認することが必要です。
口腔内崩壊フィルム(ODフィルム)崩壊の様子
水中(常温)に静置
用語解説「口腔内崩壊フィルム」とは
口腔内崩壊フィルムはODフィルムとも呼ばれています。製剤の表面積を大きくし、さらに薄くするすることで、唾液が迅速に製剤内部まで浸潤することができ、水なしまたはわずかな飲水のみで、咀嚼の必要なく服用できる薬剤です。