ケア・対処・訓練法
食べさせる側(介護者)の
注意点は?
食べさせるペースはゆっくりと
嚥下障害のある方は、飲み込みにとても時間がかかるので、次々に食べ物を与えられると処理が追いつかず、誤嚥や窒息につながります。介護者は、交互食べ(一口与えたら介護者が一口食べる)を念頭に置いて食べさせると良いでしょう。
口の中を見て、飲み込んだことを確認してから次に進むと良いでしょう。
一口量を少なく
時間内に急いで食べさせようとすると、どうしても一口量が多くなりがちです。一回の量が多いと、誤嚥や窒息の原因となります。もちろんあまり少なくても嚥下が起こりにくいこともあります。患者さんの状態を見ながらスプーンの大きさや、スプーンにのせる量を加減しながらペース配分も考えて少しずつ調整して食べさせてください。
むせたときも焦らない
患者さんがむせてしまったときに、まず落ち着いて、顔を下に向けて、口の中に溜まったものがあれば吐き出させてください。背中をさすったり、ごく軽くたたきゆっくり息をするようにしてもらいます。上を向いたり、深呼吸をすると、かえって飲食物が気管に入り込んでしまいます。むせた場合には、苦しくてもなるべくゆっくり息をしてもらい、落ち着くまで様子を観察してください。
また、口からの飛沫が飛ぶことを恐れて、患者さんが口を閉じて咳をしている場合は、手を口から10cmぐらいに置いて、開放した状態で咳をうながします。口を閉じていたり、開放が少ないと、せっかく排出したものが、再び強く吸引され、気管に入り込んでしまいます。
落ち着いてから、ぶくぶくうがいで口の中のものをきれいに出してしまうのも良いですが、誤って飲んでそれがさらに誤嚥につながる場合もありますので注意してください。
患者さんが楽しく食事をするために
介護者が摂食嚥下に対して理解が不十分な場合や、患者さんへの配慮が足らない場合は、食事が楽しくなくなり、患者さんが食事そのものを苦痛に感じてしまうことがあります。次のような事柄には十分に気をつけましょう。
・健康者の感覚でケアを行っている
・食べ物を口に入れる位置や量、タイミングが悪い
・患者さんに対してきつく指示をし、萎縮させてしまう