症状・原因
嚥下障害の主な原因を
教えてください。
脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)による麻痺や、神経・筋疾患、また加齢による筋力の低下などが主な原因です。
※摂食嚥下障害は、ある疾患が原因となり、それにより発現する症状です。
嚥下障害の原因
腫瘍(およびその切除後)
外傷
など
神経筋疾患(ALS・パーキンソン病)
筋力の低下
など
認知症
うつ病
など
経管栄養チューブ
術後の合併症
嚥下障害ポケットマニュアル第4版医歯薬出版株式会社
身体の衰弱や加齢に伴う
以下の症状による嚥下障害
- サルコペニア(筋肉減少症とも呼ばれます)咀嚼(そしゃく)や嚥下に必要な筋肉が失われてしまう状態で、最近注目されています。予防が一番大切です。
- 舌での押しつぶし、咀嚼力の低下や食物を飲み込みやすい形にまとめる機能の低下(食塊形成不全)、歯が弱る、残存歯数、義歯の不具合などにより起こります。
- 唾液の性状と量の変化
- 嚥下反射の遅れ
- 喉頭(のど仏)の位置の下降
- 無症候性脳梗塞の存在
- 注意力、集中力の低下
- 合併疾患、特に多く薬剤を服用していると副作用で嚥下が障害されることがあります。
薬剤性口腔乾燥症
口腔乾燥症は、唾液が出にくくなり、口の中が乾いたり、乾燥感を持ったりすることをいいます。唾液流量が減少することにより食塊形成に影響を及ぼすことがあり、嚥下機能低下の原因になります。
口腔乾燥症の原因として、①加齢(老化)、②自己免疫疾患、③ストレス、④糖尿病、⑤薬の副作用などがあげられます。
口腔乾燥を引き起こす薬剤として抗コリン作用をもつ、抗うつ薬、抗アレルギー剤、気管支拡張薬、排尿治療薬などがよく知られていますが、その他にも抗がん剤や抗てんかん薬など多岐にわたります。「認知症における服薬の問題点と対応策」(倉田なおみ MB Med Reha No.226:51-18, 2018)によると「日本医薬品集医療薬2011」(じほう)に掲載されている2070項目及び「OTC医薬品辞典第12版」(じほう)掲載の2860製品のうち【重大な副作用】に口渇・口渇感は15件、【副作用】に口渇の記載は624件、口腔内乾燥は3件の記載があったと報告されています。
高齢の患者さんは、合併疾患が多いことから服用している薬剤数も多くなり、薬剤性口腔乾燥症を引き起こす可能性が高くなります。薬剤性口腔乾燥症の対応としては、口腔乾燥の原因薬剤を中止・変更することが望ましいと思われます。しかし中止できない薬剤もあり、対症療法として口腔乾燥を和らげる保湿剤の使用や、飲水・うがいなどの生活指導などを行います。また、服薬が困難な場合は剤形の変更などの服薬支援も合わせて行いましょう。
参考URL:https://www.nichiiko.co.jp/medicine/knowledge/index_dry.php